2023年は飛びました!!

Introduction

2020年に活動を開始したスペースバルーン企画も今年で4年目を迎えました
コロナ禍で活動が制限され、マグロ釣り用の釣り糸を使った係留方式によるテストどまりだった、過去3年間の活動とは異なり2023年はとうとうバルーンを飛ばすことになりました!
スペースバルーン企画では、大きく4つをチャレンジポイントに進めていますが、やっと①が達成できたことになります。
まだまだやることはたくさんありますが、課題を1つ1つクリアしていき目標達成を目指します。

【スペースバルーン企画でやりたいこと】

①バルーンでユニットを飛ばす
②成層圏あたりでバルーン破裂
③グライダーで自律飛行
④目的地(から近いところ)に着地し遠隔通信でデータ回収

2023年の活動

今年はとにかく係留型からの脱却を目指しました。
これまでの課題の1つであった、ペイロードの軽量化のために、市販のカメラやGPSユニットを採用しました。
バルーン構成を検討するための係留によるトライアルを経て、バルーンの打ち上げとユニットの回収を目指しました。

【今回のスペースバルーンの構成】

動画を収めるカメラと
ソラコム様のGPSマルチユニットを搭載したカメラユニットと
浮揚用の5フィートバルーン
落下時に速度をおさえる3フィートバルーン
バルーンそれぞれとカメラユニットをつなぐ糸

で構成されています。

トライアル

2023/7/8@相模川多目的広場にて実施しました

GPSマルチユニットとカメラの動作を確認しました。
また、ペイロードを接続し、浮力を確認したところ、以下の課題が明確になり、打ち上げ本番までの修正点となりました。

【浮力の課題】

課題:4フィートのバルーンでは浮力不足

対策:補助バルーン追加により浮上

ペイロードの軽量化は今後も課題

【ペイロードの姿勢安定の課題】

課題:飛行中の安定性に問題あり(カメラが上下左右に大きく揺れる)

対策:バルーンとカメラユニットの間の距離をとるなどペイロードの接続方法を修正

 Space Ballon 2023年度初号機 安定性に難あり

初号機からの空撮映像 カメラユニットの動作を確認

GPSユニットの記録を元に飛行ルートを可視化

打ち上げ本番

2023/8/5@長野県飯山市北竜湖付近にて実施しました

カメラが発熱で変形してしまい、スイッチが押せなくなったなのでトラブルがありましたが、無事に打ち上げることができました。

カメラユニットが起動しなくなり、代替品を求めて飯山市を駆け回ることに。 (結局、修理して使えました)

フライトの様子

当日は偏西風が蛇行して南西から北東に向けた風となっていたため、ロングフライトとなりました。

GPSマルチユニットのGPSデータをGoogleMAPに埋め込んでみました。

道端の藪で発見された
Space Ballon2023年度2号機。

カメラユニットの動画です。
フライト後2時間弱でカメラ電源が途切れてしまいました。
カメラの姿勢が固定されてないため一部で急激にグルグル回る映像となっています。
ご容赦ください。

GPSマルチユニットで測定された気温データと、GPSデータから得られる地表の標高と当日のおおよその気温からバルーンの高度を推測しました。また、高度データとGPSデータと合わせてKMLファイルを生成し、GoogleEarthに埋め込んでみました。

高度データとGPSデータと合わせて作成したKMLファイルをさらに編集してGoogleEarthのツアー動画を作成しました。
KMLファイルの設定がよろしくなかったようで、一部で明らかに軌道から外れます。ご容赦ください。

今後の課題

バルーンに注入するヘリウムガス量の管理、風船の密封方法、データ回収の方法の3点で新たな課題が見つかりました。

【バルーンに注入するヘリウムガス量の管理】

現状は目分量だが、ペイロードを浮上させるためのガス量は算出できているので、注入量を把握する手段がほしい。

【風船の密封】

予定では、

1時間ほどで成層圏に到達し大きなバルーンが破裂し

2時間ほどで小さなバルーンによってゆっくり着地する想定でした。

実際は、破裂せずバルーンから空気が抜けたようで、5000m付近で停滞し

ペイロードの浮上を維持できないようになってから着地しました。

【データの回収】

今回は市販品を使用したため、カメラのデータ回収は現地に赴いてカメラユニットを拾い上げる必要がありました。

2021年の活動にて、ラズパイとLTEドングルを使用してのリモート接続するトライアルを達成しているので、次回はカメラユニットも自作したものを採用したいです。


新規参加者募集中です

スペースバルーン企画に参加したい方を募集しています。

担当者にメッセージいただくか、DSF2023運営 info@dsforum.jp までお願いします。

DSF実行委員となる必要はなく、本企画へのスポット参戦でも構いません。

今いるメンバーは画像処理の組み込みエンジニア(しかも全員ハード側)のみですので、

省電力設計が得意なソフトエンジニア、

趣味で3Dプリンタを持っていてCAD設計ができる方、

ドローンを飛ばしたりグライダーのライセンスをお持ちの方、

などで手をあげていただけるととてもうれしいです。


技術ロードマップ的なもの

スペースバルーンを成功させるために必要な技術をマインドマップに落とし込んでいます。サムアップや電球のマークがあるものは実現済みになります。今後は無印の技術テーマを実現していく活動を続ける予定です。